先日、NPO木の暮らしLABの立ち上げセミナーに参加するために大阪木材仲買会館に行ってきました。
大阪市に本社に置く大手ゼネコン竹中工務店がつくった木の建物ということで、すごく気になっていたのでこの機に少し早く入らせていただき、いろんなところを見せていただきました。
特に目を引いたのは、集成材にモルタル・石膏を挟み込んだ「燃エンウッド®」の耐火実験サンプル
右が耐火実験を行った後の「燃エンウッド®」です。
モルタル・石膏の周辺の木はモルタル・石膏によって熱を放出されることで、荷重を支える部分は残るのだそうです。火に晒される部分は黒く炭化することでそれ以上には燃えずに奥に熱が侵入することを防いでいます。
ちなみにこの実験サンプルは最大945℃で1時間加熱されたものだそうです。
火がついて1時間なら十分に逃げだすことができますよね。
都市部のような防火エリアでも表しで利用することができる。
竹中工務店のサイトを見てみると、
「燃エンウッド®」などでつくる高層ビルの絵がでてきました。
このイラストの高層木造モデル建築は29階以上にもなるそうです。
海外では木造の高層ビルが多く建ち始めているとのこと。
というのも、コンクリートはコンクリートの製造にあたり、1トンあたり約0.9トンから1トンのCO2を輩出すると言われていて、その総量を減らす必要がでているからです。
海外の場合は炭素税などもありますしね。
環境の観点だけでなく、経済的でもなくなってしまうという問題があります。
日本ではそこまで体制できていないですが、
ゼネコンは日本もそうなるかもしれないと準備しているのです。
空間デザインも変わる?
梁の部分に「燃エンウッド®」が使用されています。
和歌山ではほとんどないのですが、大阪市内だとほぼ防火地域です。
火に強く、耐火実験に認定されたものだけで建物をつくらなければいけません。
そんな地域では木を表しで使用することはむずかしいです。
「燃エンウッド®」では耐火実験での認証を使っているので、使用でき写真のような空間デザインも可能になっています。
防火地域でビルはコンクリートしか選択肢がなかったものが、躯体部分にまで木を使えるようになってきたと言えそうです。
木の魅力はマンションまで行くかも
海外の木造高層マンションなどを見てみると木を感じられる高層マンションも増えてきています。
都市部でも木を使いたい、木と共に暮らしたいと願われているように思います。
和歌山は木の産地として多くの木に囲まれて。あまり気づかないかもしれませんが全国的にも雨が多い和歌山南部で育った優秀な紀州材を余分な輸送費をかけずに使えるメリットを感じてもいいかもしれないですね。
でも、建物全身『木』でつくることができる戸建のがやっぱりいいです。
接着剤とモルタルでまとめた木よりも木の背や腹を考え、木本来の数百年持つ性質を引き出す大工の技術を余すことなく使用した木の家の方がいいです。
ゼネコンさんが近年磨く木の技術に負けないほどの技術が大工にはあります。
と最後に少しだけ吐かせてください。
モルタルと木の間にできる温度差のストレスをかけては数百年もつとは思えない。
100年もすればわかるのかな。
ちなみに、
奈良東大寺には今はなき塔が建っていました。
その高さ約96m(高三十二丈)だったそうです。
残念ながら平氏の南都焼き討ちで焼失したそうですが
残存期間は753年~1180年と約400年
人の手で焼き討ちされなければ、メンテナンスを続けることで薬師寺の東塔のように今もなお、その姿を残していたのかもしれないと思うと気が遠くなる技術力です。
木の技術の未来は先人たちが到達したところまで今一度至ることかもしれませんね。