岩出市、和歌山市、橋本市を中心に注文住宅・性能向上リノベーションを行っているエコロジーレーベル|如月建設のスタッフです。近年、温暖化の影響と思われる短時間豪雨の増加により、河川の氾濫や浸水被害が頻発しています。
しかし、浸水被害からの復旧手順については、十分な研究が進んでいないと指摘されています。この度、お客様の同意を得て、被害状況と復旧までの手順を公開し、復旧工事に携わる建築会社様への情報提供を目的とした記事をまとめました。浸水被害にあわれた方々、そして復旧工事に携わる工事関係者様の参考になれば幸いです。
被害状況
写真に映っているのは、床上浸水の被害を受けた住宅のキッチンの様子です。冷蔵庫が倒れ、流し台や作業台の上には調理器具や食材が散乱しています。住人の方が、できる限りの清掃を試みた跡が見受けられます。
バスタブや床には泥水が流れ込み、シャンプーやボディソープのボトルが無造作に散乱しています。泥水が住宅内に侵入したことがわかります。洗浄に加えて消毒ができるだけ早急に必要です。
洗濯機が倒れ、床には水が溜まっています。洗濯機の周辺には洗剤や洗濯物が散乱し、浸水によって汚れています。この状況では洗濯機が正常に動作するかも不明で、洗面所全体が水浸しでした。
床下の基礎部分に水が溜まっている状態がはっきりと映し出されています。まずは水を抜き、家全体を乾燥させる作業から始めます。
早期乾燥と応急処置
泥水が浸かってしまった荷物は一度家の外に出し洗浄
ポンプで床下の水をくみ上げていきます。
しかし、ポンプでとり切れない泥水があるので、塵取りとバケツで書き出していきます。床などの拭き上げも終えました。
壁の補修
壁の中にも泥水が侵入しているので、壁を一部剥がし、水を吸った断熱材を除去していきます。
この状態で壁の中を乾燥させていきます。
扇風機3大で乾燥させていきました。
表面の泥をとり洗浄消毒することを期待しましたが、
床下断熱は吹付断熱のため乾燥を期待しましたが、残念ながら連続気泡の吹付断熱では水分の保持力が高く、想像以上に乾燥が期待できませんでした。
各建材は乾燥性を確認することができませんでした。建材の状況を見て判断していくしかなさそうです。
壁と床下の断熱再施工
断熱の再施工は水を吸収しにくく通さない断熱材で再施工することになりました。
上と色が違います。
気候変動と浸水被害の増加
上記は気象庁資料を内閣府が作成したグラフになります。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/suigai.html
過去100年間で日本の年平均気温は上昇傾向にあり、そのトレンドは1.19℃/100年の上昇を示しています。気候変動に伴い、豪雨の発生頻度も増加しています。1970年から2015年までの「アメダス」観測データによれば、1時間降水量80mm以上の豪雨の年間発生回数は増加傾向にあり、トレンドは2.3回/10年の増加を示しています。
浸水被害が起きないことが何よりもいいことなのですが、一時も早くそして適切な工事を行えるよう私たち建築会社ができることは限られているかもしれませんが、復旧後の家を、早期にそして適切に復旧できるよう準備を進めたいですね。
今回、復旧工事後も何度か点検にお邪魔したのですが、
時間が経ってもカビを発生させずに復旧できたことは適切な復旧の施工事例とご紹介できそうです。
(公社)日本建築士会連合会がまとめた「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」には数か月後にカビが生えてしまった事例がまとめられています。https://www.kenchikushikai.or.jp/data/saigai-taiou/202306_info_1-3.pdf